ドイツ・ケルン(Köln)在住の日本人夫婦が、2023年年末にミュンヘン(München)周辺を観光した旅の記録です。
はじめに
ミュンヘンはベルリン、ハンブルクに次ぐドイツの3番目に大きな都市で、ドイツ南部に位置します。ビール、特にオクトーバーフェストで有名です。
夫の仕事の関係でいつまでドイツに残れるかが未定のため、ドイツ国内の主要な都市を早めに巡っておこうということで今回の旅を計画しました。
なお、今回の旅のメインの目的は、ドイツに多数あるお城の中でも最も有名な「ノイシュバンシュタイン城」。ディズニーランドのシンデレラ城のモデルになったとも言われています。
他にもいくつか有名な観光地や穴場を回ったので、順にご紹介します。
交通手段
今回の旅では、ケルン・ボン空港(CGN)ーミュンヘン空港(MUC)間をドイツ航空(Lufthansa)で往復しました。航空券代は1人あたり往復約€175でした。
ドイツでは2023年5月から、政府によるCO2排出量削減や物価高対策のため、月額€49でドイツ全土の普通列車・バスが乗り放題の「Deutschland-Ticket」、別名『€49チケット』が発売されています。ただ、ケルンやデュッセルドルフからだと、ミュンヘンまでは高速列車ICEでも片道で最低5〜6時間はかかるため、日中の時間を有効に使いたい方はまず選択肢に入らないかと。
また、直近ではドイツ鉄道の大規模工事の影響で電車の遅延・キャンセルが頻発していたことも飛行機移動に決めた理由の1つです。(2023年10月にベルギーに旅行した際は往路・復路ともに予約していたICEがキャンセルになり、大変な思いをしました、、。ベルギー旅行については別途紹介予定です!)
一方で、ミュンヘン市内のトラムやバスでの移動は全て€49チケットで完結したので、€49チケットを通勤定期券として購入している私たちとしては実質無料でした(後述のツアーバス料金は除きます)。ミュンヘン空港から市内中心地までもSバーン(S1もしくはS8)1本で繋がっているので、非常に便利でした(ミュンヘン空港から空港駅(Flughafen München)までは10分ほど歩きます)。政府の補助があるうちにたくさん国内を旅行しておこうというのも今回の旅行先をドイツ国内に決めた理由の1つでした。
観光スポット巡り
それではいよいよ、これから観光したスポットを時系列順に紹介していきます!
ダッハウ強制収容所
今回の2泊3日の旅行で初日に訪れたのは、ナチス・ヒトラーが最初に創設した強制収容所の跡地です。
ダッハウ(Dachau)というミュンヘンから北西へ約15km離れた街にあります。ホテル最寄り駅のKarlsplatz駅からS2(Sバーン)で30分ほどかけてDachau駅まで向かいました。その後、駅前のバス停からバス726番で10分ほど進んだKZ-Gedenkstätte駅で下車しました。収容所の入り口はバス停から数分歩いたところにありました。
跡地内の展示室では、収容所での厳しい労働や生活ぶりに加え、懲罰や人体実験などの残虐な行為を目の当たりにし、正直気分はとても落ち込みました。一方で、世界史の教科書だけでは学び切れない、当時の世論や時代背景、人間社会の恐ろしい面を知れたことは大変良かったと思っています。
説明文は基本的に全て英語が併記されており、また当時の写真や映像もそれなりにあったので、比較的理解はしやすかったです(日本語での説明はありませんでした)。
収容房やトイレ、毒ガス部屋や火葬設備についても、実際に見たり入ったりすることができました。
跡地全体の敷地面積はかなり広く、敷地内に小さな川も流れているくらいでした。
奥の方の礼拝堂ではお土産買うこともできました。今回私たちは会うことができませんでしたが、日本人のシスターの方もいるようです。
なお、ダッハウ強制収容所跡地への入場料は無料でした。
ノイシュバンシュタイン城&リンダーホーフ城ツアー
[補足]バスツアーについて
2日目は朝からノイシュバンシュタイン城&リンダーホーフ城 日帰り観光ツアー <8時台出発/英語ガイド/ミュンヘン発>に参加しました。10時間半におよぶ、二階建ての大型観光バスでのツアーです。
ノイシュバンシュタイン城まではアクセスがあまり良くないため、本バスツアーの利用が最も快適だろうということで決めました。費用は2つのお城の入場料も含めて1人あたり€101でした(昼食代などは含まれていません)。
出発15分前に集合場所(Karlsplatz駅周辺)に着くと大型バスが4台止まっており、自分たちは日本人だと伝えると最後尾のバスに案内されました。席は早い者順で、4台目のバスにはかなりたくさんの日本人観光客が見うけられました。
女性のツアーガイドさんが1名添乗しており、彼女による説明は全てドイツ語と英語でした。
座席の音声ガイドは、てっきり英語のみと思っていましたが、日本語の音声ガイドも選択できました。ガイドは特定のポイントごとに急に始まるため、少なくともどちらかの耳には常にイヤホンを付けているようにした方が良さそうです。外国語を日本語に直訳したような少し違和感のある翻訳でしたが、お城に関する理解が深まるとても興味深い内容でした。
リンダーホーフ城
バスツアーの最初の降車地は、リンダーホーフ城(Schloss Linderhof)でした。ノイシュバンシュタイン城と同じ王様、バイエルン王ルートヴィヒ2世が建てた宮殿です。
バスを降りてから30分ほど自由時間が与えられ、決められた時間に奥にあるリンダーホーフ城の前に集合するよう指示を受けました。入り口付近にあるお土産屋さんや無料のトイレを利用できました。
リンダーホーフ城までは整備された散歩道が続いており、その途中の透き通った水が流れる川や池を眺めながら進みました。
しばらく進むと、白い建物とその前の広場が見えてきました。下の写真がリンダーホーフ城です。
城内の見学は2つのグループに分かれ、お城のガイドさんが全て英語で説明してくれました。申し出れば、日本語を含むその他の言語で書かれたガイドファイルを借りることもできるようでした。
オーバーアマガウ
その後再びバスに乗車し、オーバーアマガウ(Oberammergau)という小さな街でも30分間の自由時間がありました。そこでも観光やカフェ、ショッピングを楽しむことができます。
私たちの場合はトイレを探すのに手間取ってしまい、ゆっくり観光する余裕はありませんでした。街中にいくつもトイレの方向を示す道標を見かけましたが、その方向に行けども行けども全く見当たらないのです、、。結局あきらめて集合場所の近くまで戻ってきた時に、映画館のような建物の外にやっと無料のトイレを見つけることができました。(ツアーバスにもトイレは付いていますが、ツアーガイドさんによるとバスが走っている間しか水が流れないようです。)
今回は無事集合時間に間に合いましたが、バスが出発する前に人数確認をしている様子がなかったので、間に合わなかった場合は最悪置いていかれてしまう可能性がありそうです。バスを降りる際には必ず集合時間と場所を確認するようにした方が良さそうです(集合場所がバスを降りた場所とは異なる場合もあります)。
ホーエンシュバンガウ
ツアーバスの最後の降車地は、ノイシュバンシュタイン城(Schloss Neuschwanstein)の麓のホーエンシュバンガウ(Hohenschwangau)という旧市街でした。
バスから降りるとお城への入場チケットが配られ、約2時間後のノイシュバンシュタイン城前での集合時間まで、昼食も含めた自由時間が与えられました。
到着時点で13時を回っていたため、まずは昼食を取れる店を探しました。バスガイドさんがお勧めしてくれたホテルに併設しているレストランがとても広く、すぐに席に着くことができました。リゾットと鶏肉料理、ドリンクを注文し、2人で€56でした。大変美味しかったですが、昼食にしては少しお高めです。
ホテルや飲食店の他にも、お土産を購入できるショップが多数ありました。
マリエン橋
昼食後、まっさきにお城行きのバス乗り場に向かうと、ちょうどバスが来たところで飛び乗ることができました。お城までの交通手段は徒歩かバス(片道€3)、馬車(片道€8)の3択でしたが、徒歩の場合、片道40分程度の山登りになります。バスで通った道は登山道とは違いましたが、いろは坂を彷彿とさせる急傾斜&ジグザグ道だったので、バスに乗れて良かったと思いました。
またバスで登る場合、ノイシュバンシュタイン城の奥に位置する、全体を眺望できるマリエン橋(Marienbrücke)の近くで降車することになるので、そこまでの時間もだいぶ節約することができます。
バスから降りるとマリエン橋まで長い行列ができており、15分ほど並ぶ必要がありました。橋に同時に乗れる人数がある程度限られているためです。
やっと橋の上にあがれると、そこから見えたのはノイシュバンシュタイン城とその周りの壮大な山と湖。これまで行ったすべての観光地の中でトップレベルに値する絶景でした。まさにノイシュバンシュタイン城を眺望するためだけに作られた橋、という感じです。
マリエン橋は谷底からだいぶ高いとこに架かっており、また底板の隙間からたまに谷底が垣間見えるため、高所が苦手な方には少しきついかもしれません。皆スマホ等で記念撮影をしていましたが、底板の隙間からスマホを落としてしまうかもしない恐怖から、私はスマホをカバンから出すことができませんでした。スマホを首から下げれるストラップのようなものを持ってくるべきだったと反省しています。
ノイシュバンシュタイン城
マリエン橋からノイシュバンシュタイン城の入り口までは徒歩で15分程度要しました。
入場チケットに書かれた入城時間以降にチケットを機械にかざすと入城できました。(入城時間から一定時間を過ぎると入れなくなってしまうようなので注意が必要です。)
城内はグループツアーですが、日本語の音声ガイドが借りられます。イヤホンを持参している人もいましたが、イヤホンがあれば機械をずっと耳に当て続ける必要がないので楽そうでした。
ところで、ノイシュバンシュタイン(Neuschwanstein)の意味するところは、新(Neu)・白鳥(schwan)・石(stein)です。昔は湖に野生の白鳥がたくさんいたのでしょうか、お城の中では白鳥の模型をいくつも見かけました。本物の白鳥は今回の旅では一羽も見れませんでしたが、麓のホーエンシュバンガウでも白鳥を模したお土産が多数販売されていました。
ガイドツアーの出口付近にはお土産屋ショップや無料のトイレ、さらにその奥にはバルコニーがあり、最初にノイシュバンシュタイン城を眺望できたマリエン橋を城側から見ることができました。
お城からホーエンシュバンガウの中心地までは徒歩で下山しました。
そこから再度ツアーバスに乗り、約1時間半程かけてミュンヘンの出発地点に到着し、10時間半におよぶバスツアーは終了しました。バスの中は終始十分に暖かく、座り心地も全く問題ありませんでした。このツアーを利用することで、ドイツの厳しい冬中でもかなり快適な旅行ができたと思っています。
フラウエン教会(聖母教会)
最終日3日目の朝に訪れたのは、ミュンヘン中央駅から東方面に2駅ほどいったマリエン広場(Marienplatz)というエリアです。その周辺にはミュンヘンの有名な観光地や商業施設が多数集まっています。
最初に訪問したのは、玉ねぎのような頭をした2つの高い塔が目印のフラウエン教会(Frauenkirche)です。マリエン広場から徒歩10分ほど北西に進んだところにあります。
わりと早朝だったためか周辺も館内も人が少なく、静かに回ることができました。比較的小さめな教会でしたが、白基調の内装とステンドグラスが綺麗で印象的でした。
後日調べて知ったことですが、教会内の「悪魔の足跡」というスポットが有名なようで、そのスポットからは教会内の窓がいっさい見えないのだとか。
入場料は無料でした。有料で塔に登ることもできるようです。
旧市庁舎・おもちゃ博物館
次に訪れたのは、マリエン広場の東側(後述の新市庁舎に向かって右手側)に位置する旧市庁舎(Altes Rathaus)内のおもちゃ博物館(Spielzeugmuseum)です。
旧市庁舎といっても、外装は建てられたばかりのお城のようでとても綺麗、というか可愛いです。
おもちゃ博物館への入り口が分からず探し回ってしまったのですが、外に音楽を奏でながらクルクル回るおもちゃの仕掛けが付いており、その横に赤い扉を見つけることができました。赤いとんがり帽子をかぶった高い方の塔が、まるまるおもちゃ博物館となっているようです。
階段を登り1階(日本でいう2階)でチケットを購入し、1階から5階までの展示物を見ることができました。エレベーターも付いています。
ぬいぐるみを始め、動物園のジオラマ、プラレールなど、ひと昔前のおもちゃが一通り揃っているようでした。ただ、動力系のおもちゃも全て展示ケースの中に収められているため、実際にどのように遊ぶのか、どのような動きをするのかまでは確かめられないのは残念でした。
おもちゃといってもその歴史を展示している場所であり、必ずしも子どもを連れて行ったら喜ぶところではないかもしれません。
入場料は1人€6で、所要時間は30分〜1時間でした。音声ガイドや説明文はありませんでした。
新市庁舎
ミュンヘン新市庁舎(Neues Rathaus)はマリエン広場から見える建物で、最も大きくまた最も存在感がある建物です。旧市庁舎よりも明らかに建物は古いですが、とにかく大きいです。
特に有名なのは、建物の真ん中に位置する仕掛け時計(Rathaus-Glockenspiel)。午前11時と12時の1日2回のみ、その仕掛けが動くのです(午前10時には何も起こらないので注意が必要です)。
10時50分頃からスタンバイする人々で広場は溢れかえっていました。新市庁舎の時計の針が10時ちょうどになると音楽が流れ始め、向かって左側の騎士の像のみが動き始めます。その後しばらくすると、2段あるうちの上段の飾りが回り始めました。上段の回転が止まりしばらくすると、次に下段が回り始める、といった流れです。全体で5〜10分間は動いていたと思います。
仕掛けや音楽はとても素敵でしたが、毎日職場前の広場にこんなに観光客が押し寄せるなんて、市庁舎で働く職員の方々もさぞ落ち着かないだろう、とつい考えてしまいました。
今回私たちは新市庁舎の中に入ることはありませんでしたが、有料で塔に登ることもできるようです。
アイスバッハ川
その後向かったのは、エングリッシャー公園(Englischer Garten)内のアイスバッハ川(Eisbachwelle)という穴場の観光スポットです。Marienplatz駅からS7で1駅進み、München Isartor駅でトラム16番に乗り換え、5分ほど進んだNationalmuseum/Haus der Kunst駅からすぐのところです。特に案内板などがあるわけではないですが、人だかりができているのですぐにわかると思います。
そのスポットでは常にいい感じの波が発生しているため、ドイツ内でもリバーサーフィンの名所となっています。滝や噴水、川が好きな私(妻)のために夫が調べて連れて行ってくれました。さすがに真冬なのでサーファーはいないかと思ったのですが、なんと10人以上もいました。
川の水量の多さ、急流なのに加えて、川底にコンクリートの人工壁が作られており、その壁に流れてきた水が勢いよく当たることで常にいい感じの波が発生しているように見えました。
サーファーが左右から順番に波に乗っては失敗して流され、というのをしばらく眺めていましたが、全く飽きません(笑)この近くに住みたいと思うほど、水も波も、そしてサーファーの身のこなしも美しかったです。さすがに流れの轟音がすごいので近くに住むのは大変そうですが、、。
レジデンツ博物館
そして最後に訪問したのは、バイエルン王国ヴィッテルスバッハ家の王宮「レジデンツ博物館(Residenzmuseum)」です。博物館以外にも宝物庫や劇場、庭園があり、建物全体はかなり広大です。
上記のアイスバッハ川からは電車でのアクセスがあまり良くなく、昼食休憩も挟みつつ15分ほど歩いて向かいました。
またもや入り口が分からず巨大な建物の周りをぐるぐる回ってしまいましたが、建物の壁に案内図があったのでなんとか辿り着けました。入り口前の中庭に長い行列が出来ており、20分ほど並ぶと建物の中に入れ、チケットを購入することができました。
博物館内の一つ一つの部屋は驚くほど広く、そしてすべてが豪華絢爛でした。
お客さんの数も多く、日本人を含めたアジアからの観光客もたくさん見受けられました。
レジデンツへの入場料は1人€9でした。宝物館や劇場への入場は別途料金がかかります。
参考所要時間は2〜3時間と書かれていましたが、私たちは飛行機の時間が迫っていたため最短コースを回り、それでも30分以上はかかりました。
日本語の音声ガイドを無料で借りることもできるようです。
おわりに
今回は飛行機とバスツアーを利用したこともあり、これまでのドイツ国内の旅行の中でもかなり快適で満足度の高いものとなりました。
観光スポットとしては、橋の上から見たノイシュバンシュタイン城の眺望と、周囲の建物も含めたマリエン広場の雰囲気が、特に印象に残るものとなりました。
今回の旅行記が、これからドイツ・ミュンヘンに訪れる方々の参考になれば幸いです。
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