ドイツ・ケルン(Köln)在住の日本人夫婦が、 ‘Elster’ を利用してドイツでの確定申告(所得税申告)を行った際の記録です。
はじめに
先の記事【海外生活記】ドイツ収入 2024 で紹介したように、ドイツでは所得にかかる税金や社会保険料の割合が非常に高く、年収€30,000(約400〜500万円)を超えたあたりで手取り割合が70%を下回ってしまいます(ちなみに日本では年収1,300万円を超えたあたりで手取り割合が70%を下回ります)。
サラリーマンの場合、翌年以降に確定申告を行うことで給与から源泉徴収された所得税のうち払い過ぎた分を取り戻せる可能性があります。
今回はドイツ政府・州が運営するオンライン確定申告サービス ‘エルスター(Elster)’ を利用して、はじめてドイツでの世帯ベースの確定申告に挑戦してみました。本記事では、Elsterへの登録から所得税申告書作成の流れ、還付金が振り込まれるまでのタイムスケジュールなどを共有したいと思います。
なお、本記事は実際にElsterで確定申告を行った妻の私によって作成されました。私はドイツの税務の専門家というわけでも、ドイツ語に堪能というわけでもありません。あくまでも1つの事例として参考程度にみていただければと思います。
●Elster公式サイト(一部英語表記あり):https://www.elster.de/eportal/start?locale=de_DE
*** ドイツの所得税や社会保険料の目安に関しては次の記事をぜひご参照ください ***
前提
対象年
今回は2023年の所得に関する確定申告を行いました。
書類などの準備が早々に整ったので、期限よりもだいぶ早い2024年5月末に所得税申告書を提出しました。
ドイツでの所得税申告書の提出期限は通常翌年の5月末でしたが、Abgabepflichten und -fristen|Ihre Finanzämter des Landes Nordrhein-Westfalen によるとコロナ禍以降期限が延長されていて、2023年分の期限は2024年9月2日のようです。ただしこの期限はあくまでも確定申告が義務の方向けのものであって、所得税の還付を受けるために任意で確定申告を行う場合は4年ほど遡って(2024年末までに2020年分まで)の申請が可能です。
対象範囲
今回の確定申告は世帯ベース(Zusammenveranlagung, 共同評価)で行いました。
夫婦であっても個人ベース(Einzelveranlagung, 個別評価)で確定申告を行うことも可能ですが、夫婦の年収がちょうど同額の場合を除いては、基本的に世帯ベースで確定申告を行った方が世帯全体で支払う税金は少なくて済みます。
対象所得
私(妻)はドイツの会社(GmbH)に雇用されているため、その給与収入や経費について申告を行いました。また日本で不動産を保有しているため、その不動産所得についても合わせて申告しました。日本での不動産所得に関しては2024年3月に日本での確定申告が完了しており、またその所得金額もマイナス(損失)なのですが、対象のフォーマットを見つけたので念のため申告しました。
一方、夫については国際機関職員であり、ドイツおよび日本で申告すべき所得はありません。
ちなみに、私たち夫婦の場合は税金クラス(Steuerklasse)をデフォルトの ‘4’ から変更していないため、通常は確定申告の義務はありません。今回は、夫婦間で年収に大きな差があったこと、私が通勤交通費を自腹で払っていた期間があったことや転職により年の途中で給与額に大きな変更があったことなどから、それなりの還付金を受け取れる見込みがあり、任意での確定申告を行いました。
したがって、今回私たちが確定申告を行ったメインの対象所得は次の3点になります。
- 夫のドイツでの収入(が無いこと)
- 妻のドイツでの給与収入とそれに関連する通勤交通費
- 妻の日本(外国)での不動産所得*
*所得とは、収入から経費を差し引いたものを指します。
確定申告全体のステップ
今回私たちが行った、Elsterを利用した電子確定申告の流れは次の通りです。
- Step 0(住民登録・個人識別番号の取得)
- Step 1Elsterへの登録
- Step 2Elsterでの所得税申告書作成・提出
- Step 3Elsterでの証拠書類提出
- Step 4還付額の決定通知・振込
【Step 1】以降については、実際に税務署(Finanzamt)を訪れることなく、全てオンライン(Elster経由)あるいは郵送での書面受け取りにて完了しました。
各ステップの詳細とタイムスケジュール
以下に、各ステップの詳細やそれぞれに要した時間などを記載していきます。
【Step 0】住民登録・個人識別番号の取得
ドイツで住民登録を行うと、一人ひとりに『個人識別番号(Persönliche Identifikationsnummer)』が割り当てられますが、この11桁の番号がドイツで税金関係の申告をする際に必要になります。実際に今回Elster経由で確定申告をした際にも夫婦2人分の番号の入力を求められました。
今回は住民登録に関する詳細は省略しますが、住民登録に必要な書類の準備期間などを除くと【Step 0】の所要時間は約1ヶ月でした。
住民登録
住民登録は2022年に、家が決まってから自宅最寄りの市庁舎(Bürgerdienste Kundenzentrum)で行いました。住民登録にはオンラインでの事前予約が必要で、最短でも約3週間先の日程しか空いていませんでした。当日は予約時間通りに伺ったにも関わらず、混んでいて1時間程度待ちましたが、その1回の訪問で登録が完了しました。
個人識別番号の取得
市庁舎での住民登録完了後、1週間以内に個人識別番号の通知書(タイトル:『Zuteilung der Identifikationsnummer nach §139b der Abgabenordnung』)が郵送で届きました。
ドイツは典型的な書面社会で、郵送で重要な書面が届きます。それらの書面に記載された番号などが後々様々な手続きで必要になってくるので、届いた書面は全部きちんと保管しておくことをおすすめします。
【Step 1】Elsterへの登録
Elster経由で所得税申告書を作成・提出する場合、まずElster上でアカウントを作成する必要があります。
欧州では個人情報の保護に非常に厳格なためか、Elsterのセキュリティ面もそれなりに厳重に管理されており、アカウントを取得するまでにやや手数がかかります。
全てオンラインで最短20分程度で完了する新しい方法もあるようですが、私が行った郵送でのコード受け取りのステップを含む従来の方法では約2週間かかりました。
アカウント作成方法の選択
ELSTER公式サイトにアクセスし[Benutzerkonto erstellen (アカウントを作成する)]に進みます。
本記事ではドイツ語の画像を添付していますが、アカウント作成など一部の機能に限っては、上部の[EN]タブをクリックすることで英語表記への切り替えが可能です。
続くアカウントの作成方法の選択のステップで、私の場合は次の項目を選択しました。
- 登録方法:[Klassische Registrierung (従来の登録方法)]
- ログイン方法:[Zertifikatsdatei(empfohlen) (証明書ファイル(推奨))]
- 登録対象者:[Für mich (und gemeinsam veranlagten Partner) (私(とパートナー)向け)]
- 身分証明:[Mit steuerlicher Identifikationsnummer (個人識別番号を利用)]
個人情報の入力
前項の通り選択を進めていくと、個人情報を入力する画面に移ります。[E-Mail (メールアドレス)]、[Geburtsdatum (生年月日)]、[Identifikationsnummer (個人識別番号)]に加え、[Sicherheitsabfrage (秘密の質問)]も自分で選択肢から選択し、[Antwort(答え)]を設定する必要がありました。
私たち夫婦の場合、この段階では私(妻)の分のみの個人情報を入力し、私個人のアカウントを作成しました。後述の所得税申告書作成の過程で、私の家族として夫の個人情報や個人識別番号を入力する機会がありました。したがって、夫個人のElsterのアカウントは最後まで作成せずに済みました。
メールアドレス認証
前項で入力した個人情報を送信すると、入力したメールアドレス宛に認証のためのメール(タイトル:『Mein ELSTER: E-Mail-Bestaetigung』)が届きます。
メール上のリンクをクリックすることで、メールアドレス認証を完了します。
電子証明書ファイルの取得
メールアドレス認証を終えると、数分以内に[Aktivierungs-ID (アクティベーションID)]が記載された2通目のメール(タイトル:『Mein ELSTER: Aktivierung Ihres Benutzerkontos』)が届きます。
それから約1週間後に、[Aktivierungs-Code (アクティベーションコード)]が記載されたドイツ語の書面(タイトル:『Aktivierung Ihres Benutzerkontos bei Mein ELSTER』)が郵送で届きます。
2通目のメール上のリンクからElsterにアクセスし、アクティベーションIDおよびコードを入力します。次の画面で任意のパスワード(2回入力)を設定すると、自分専用の電子証明書ファイルが生成され、ダウンロードにより取得できます。
これでElsterのアカウント作成は完了ですが、ダウンロードした電子証明書ファイルを今後ログインする度にアップロードする必要があるため、基本的に自前のPC端末でしかログインできない仕様となっています。(電子証明書ファイルは複製を保存し、パスワードや秘密の質問なども必ずどこかに控えておきましょう!)
【Step 2】Elsterでの所得税申告書作成・提出
当然ですが、この所得税申告書を作成する過程が、確定申告全体において一番作業時間を要する山場になります。
Elsterで自分で所得税申告書を作成する場合の一番のネックは、所得税申告書がドイツ語表記のみであることです。私の場合はスマホアプリの ‘Goodle翻訳’ のカメラ機能を駆使してなんとか進めていきましたが、所得税申告書の全体構成を理解する過程も含めると、休日丸3日程度を費やしました。
必要書類・データの収集
所得税申告書の作成にあたり、事前に、あるいは同時並行的に、必要な書類やデータを揃えていく必要があります。
たとえば交通費の経費計上であれば、年間で自腹で支払った交通費の合計金額の入力が必要です。また、有給休暇やテレワークの日を除いた実際にオフィスに出社した日数なども入力する必要がありました。また、日本での不動産所得額を入力するには、日本の確定申告書類が必要です。
今回は提出を要請されませんでしたが、いつ税務署から「お尋ね」が来ても良いように、経費として計上した交通費の領収書などは保管しておく義務があります。領収書や確定申告書類などの証拠書類を電子データで保管しておくと後々提出を求められた場合にElster経由で提出できるので便利です。
所得税申告書の作成
Elster – Mein ELSTERから自身のアカウントでログインし、多数ある申告書フォーマットの中から「Einkommensteuererklärung unbeschränkte Steuerpflicht (ESt 1 A)(無制限納税義務のある所得税申告書)」を選択します。これはドイツに居住している方向けの所得税申告書になります。
続く画面で、申告対象の年を選択します。次の画面で、新規で所得税申告書を作成する場合には[Ohne Datenübernahme fortfahren(データ転送なしで続ける)]を選択します。
対象範囲・対象所得の選択
ここからは、所得税申告書を構成する複数のフォーマットから、今回入力すべきフォーマットを選ぶ作業に入ります。
まずは対象範囲を選択します。最初の画面「Anlagenassistent(申告対象者)」で、世帯ベース(共同評価)での所得税申告書を作成するためには、夫婦2人の名前と個人識別番号を入力する必要があります。
次に対象所得を選択します。「選択」といっても質問に「Nein(いいえ)/Ja(はい)」で正しく答えていけば、対象のフォーマットが自動で選択されます。3ページにわたる「Anlagenassistent – Allgemeine Angaben(申告対象者 − 一般情報)」で、「医療費を経費計上したいか」「年金を受け取ったか」「自営業者であるか」などの質問に答えていきます。私の場合、次の2つの質問にのみ「Ja」で回答しました。
- Haben Sie für 2023 eine oder mehrere Lohnsteuerbescheinigungen zum Beispiel für Arbeitslohn, Bezüge oder eine Pension erhalten?(給与や年金など、2023年分の所得証明書を1つ以上受け取りましたか?)
- Haben Sie in 2023 Immobilien (zum Beispiel Haus, Wohnung, Zimmer, Garage) vermietet oder Grundstücke verpachtet?(2023年に不動産(家、アパート、部屋、ガレージなど)を貸したり、土地を借りたりしましたか?)
回答を終えると「Anlagenauswahl(申告書フォーマットの選択)」の画面に移ります。この時点で必要なフォーマットが自動で選択されていますが、ここで、自分自身の目で、自分が入力すべきフォーマットが合っているか、必要なフォーマットが漏れていないかをしっかり確認する必要があります。
収入や経費などの入力
その後は、申告書フォーマットに従って、求められる情報をひたすら入力していきます。この過程に関してはボリュームがかなりあるので、要望があれば別途記事を作成する予定です。
エラー・還付額の確認
最後に[Prüfen(チェック)]ステップでエラー表示がないことを確認し、[Versenden(送信)]ステップで還付額(あるいは追納額)を確認したら、所得税申告書作成作業は完了です。
所得税申告書の提出
日本ではたとえ ‘e-Tax’ で電子の確定申告書を作成しても自宅にマイナンバーカードの読み取り機や読み取り対応スマートフォンなどがなければ郵送などで提出する必要があるかと思いますが、ドイツではElster上で作成した電子所得税申告書をそのままElster経由で簡単に提出できました。
【Step 3】Elsterでの証拠書類提出
実はドイツでは、所得税申告書提出の時点では原則として領収書などの証拠書類を添付する必要はありません。所得税申告書を受領した税務署が証拠書類が必要と判断した場合にはじめて、追加で証拠書類を提出します。(ですが、いつ追求されても問題ないように【Step 2】の時点で証拠書類は全てきちんと揃えておきましょう!)
ちなみに私は【Step 2】の所得税申告書提出の時点で、絶対に提出を求められるだろう書類2点を添付していました。しかしその段階では税務署が添付書類をチェックすることはないのか、結局証拠書類提出を要請する書面が届き、その書類2点を再度提出することになりました(笑)
【Step 2】で所得税申告書を提出してから、証拠書類提出の要請を受け取って追加で証拠書類を提出するまで、3週間程度かかりました。
証拠書類提出の要請
私の場合、所得税申告書を提出してから約2週間後に、証拠書類提出を要請する書面(タイトル:『Einkommensteuerklärung 2023』)が郵送で届きました。オンラインで提出しているのに返答が郵送でくるところはドイツらしいですね(笑)
その書面には、私たちの個人識別番号の他に『税番号/ファイル番号(Steuernummer/Aktenzeichen)』が記載されており、今回の所得税申告書提出を通してはじめて税番号を取得することができました。税番号/ファイル番号は世帯で1つのようです。
ちなみに私が税務署から提出するよう要請を受けたのは下記の2点でした。
- 夫が国際機関に雇用されていることを証明するもの
- 私(妻)の日本での不動産所得額を証明するもの
証拠書類の提出
Elster – Mein ELSTERから自身のアカウントでログインし、画面下のフォーマットの中から「Belege nachreichen(裏付け書類の提出)」を選択します。
続く画面では、Steuernummer/Aktenzeichen(税番号/ファイル番号)欄に、証拠書類提出を要請する書面に記載されていた税番号およびファイル番号を入力しました。
ちなみに私の場合、上記の2点の要請に対して、次の書類の電子データを添付しました。
- 夫の勤務先が発行する「夫が国際機関職員であり、ドイツなどに所得税の納税義務がない」ことを証明する書類
- 日本の税務署に提出した確定申告書類一式と、その後郵送で受け取った『国税還付金振込通知書』の画像
証拠書類の提出期限はおよそ1ヶ月後に設定されていましたが、書面を受け取ってから1週間以内に提出しました。
【Step 4】還付額の決定通知・振込
【Step 3】での証拠書類を提出後、1ヶ月以内にElster上(登録メールでの通知あり)で還付額の決定通知が届きました。それから約3日後に郵送で正式な決定通知書(タイトル:『Festset zung』)が届き、その後数日以内に予め指定していた口座に還付金が振り込まれました。
私の場合、自分がElster上で所得税申告書を作成した際に計算された還付額と税務署が計算した還付額が一致しており、税務署から通知された還付額に異議がなかったため、これですべての手続きが完了しました。
確定申告の結果報告
所要時間
今回は幸いにも、【Step 1】Elsterへの登録 から【Step 4】還付額の決定通知・振込 まで2〜3ヶ月で完了しました。
ただし、所得税申告書の提出が殺到する締め切り直前(2023年分であれば2024年8月〜9月2日)に提出する場合には、すべてのステップにおいて上に記載した以上の時間がかかることが予想されます。
所得税申告書・証拠書類への指摘
【Step 2】で提出した所得税申告書は大きなミスや問題はないようでしたが、還付額の決定通知上で税務署に一点修正されていたのは、夫と私の登録を逆にしていたことでした。ドイツでの収入がある私のみがElsterのアカウントを作成したこともあり、[Steuerpflichtige Person / Ehemann / Person A(納税者/夫/人物A)]を私(妻)、[Ehefrau / Person B(妻/人物B)]を夫として登録していたのですが、夫婦の場合必ず夫(男性側)を前者に登録する必要があるようです。
【Step 3】で提出した証拠書類については特に問題はなかったようで、予想よりもだいぶ早く還付額の決定通知書が届きました。それぞれ公式な証明書や日本の税務署が承認済みということがわかる書類を提出したことがスムーズな振込につながったと考えています。
還付額
今回は正確な金額は公開しませんが、ざっくり4桁ユーロの所得税が戻ってきました。
還付額の決定通知書によると、予想していた通り、自腹で支払った交通費は全額経費として認められたようです。また、明確な記載はないため憶測を含みますが、夫と私に大きな収入差があったことや、私が転職して給与額が大きく変わったことなどから、徴収され過ぎていた所得税を大きく取り戻せたようです。
ちなみに合わせて申告した日本での不動産所得の損失については、還付額に影響を全く与えていないようでした。外国での所得も申告させるということは、もし不動産所得がプラスであった場合には(日本で納めた税金を考慮した上で)追加で取れる分の所得税を徴収するつもりだったと思われます。それに対してマイナスの場合にドイツ国内の収入と一切相殺してくれないとしたらかなり不公平ではないでしょうか。。
総論
ドイツ語に不慣れな中での確定申告には相応の手間と時間がかかりましたが、私の場合はかけた労力に対して十分に元が取れたと思っています。
[補足]ドイツでの確定申告の対象者
日本の確定申告の場合と同様に、ドイツでも確定申告が義務の人とそうでない(任意の)人がいます。
下記のいずれかに該当する場合は、ドイツでの確定申告が義務となっています。一部抜粋であり、すべての対象者を網羅できていない点はご了承ください。
- 自営業者やフリーランスなど、毎月の収入から所得税が徴収されていなかった場合
- 2つ以上の雇用主から給与を受け取っていた場合
- 給与の他に、所得ベースで年410ユーロを超える年金や家賃などの副収入があった場合
- 海外投資での利子など、源泉徴収されていない資産所得があった場合
- 失業手当や疾病手当、出産手当などの給付金を受け取った場合
- 税金クラス(Steuerklasse)が夫婦で ‘3’ と ‘5’ の組み合わせの場合 など
ちなみに確定申告が義務でない場合でも、下記のいずれかに該当する場合は、確定申告を自主的に行うことで所得税を取り戻せる可能性が非常に高いです。
- 通勤交通費を自腹で支払った場合
- 多額の医療費を支払った場合
- 年の途中で転職して給与額が変わった場合、あるいは無給の期間があった場合
- 税金クラスが夫婦ともにデフォルトの ‘4’ であるが、夫婦間で年収に大きく差があった場合
- 年の途中で子どもが増えたり、結婚したりした場合 など
確定申告には手間も時間も要しますが、自分で確定申告を行う分には特に費用はかからないため、やる気がある方や多額の還付が得られる見込みがある方は挑戦してみてもよいかもしれません(巷には英語で簡単に確定申告ができる有料サービスなどもあるようです)。
ちなみにEinmal Steuererklärung immer Steuererklärung|Smartsteuer blog(Smartsteuerは有料確定申告サービスを提供している一社です)によると、確定申告が任意の方が一度確定申告をしたからといって、翌年以上も確定申告が義務になるといったルールは特にないとのこと。またこの記事では、サラリーマンの場合は確定申告をすることで大抵の場合払い過ぎた所得税を取り戻せるとの主張がなされています。
所得税申告書を税務署に提出する前にElster上で計算された還付額あるいは追納額を確認することができるので、確定申告が任意でするか迷っている方は、見込み還付額あるいは追納額を見てから決めてもよいかもしれません。
おわりに
税金関連の知識にある程度自信があり、また日本での確定申告は何度もした経験があったので、ドイツでの確定申告も自力でなんとかなるだろうと高を括っていましたが、想定以上に苦戦しました。
Elster上の文言に限らずドイツの文書は、翻訳アプリなどを駆使しても理解が困難な時が多々あります。これは私がドイツ語が不自由なことが原因であることは言うまでもありませんが、ドイツという国の文書自体が、とても抽象的でとにかく分かりにくいのです(この意見にはドイツ在住の中国人の友人も深く共感してくれました、、)。
2024年以降もそれなりの所得税が還付される見込みがある場合には、今回同様にオンラインで確定申告を行っていくことを予定しています。次回以降は医療費や職業訓練費などの経費についても計上すべく、今からしっかり領収書などを保管していこうと思っています。
本記事が、今後ドイツでの確定申告に挑戦される方の参考になれば幸いです。
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