ドイツ・ケルン(Köln)在住の日本人夫婦が、証券アナリスト第2次試験を受験するために2023年6月上旬にイギリスのロンドン(London)を訪問した旅の記録です。
はじめに
2023年6月上旬にイギリス・ロンドンを訪れた主要な目的は、私(妻)が日本証券アナリスト協会主催の証券アナリスト(CMA)第2次試験を受験するためでした。したがって、本記事は妻である私によって作成されました。
証券アナリスト試験は第1次試験、第2次試験から構成されています。日本で第1次試験まで合格していて、第2次試験を受ける前にドイツに移住しました。幸いなことに日本国内の他にニューヨーク、ロンドン、香港でも受験できたため、第2次試験はドイツから一番近いロンドンで受けることにしました。(ちなみに、証券アナリスト試験には一定の受験可能期間が設けられています。)
試験のついでに観光も兼ねて、夫と2泊3日で行ってきました。かねてより興味があったグリニッジ天文台や大英博物館、ハリーポッターの聖地などを巡ってきました。
なお、2024年5月にもロンドンを再訪し、今回訪れなかったトラファルガー広場やシャーロック・ホームズ博物館なども巡ってきたので、興味がある方は次の記事もぜひご覧ください。
交通手段
ロンドン会場の試験日はかなり前から判明していました。試験会場自体は約1ヶ月前にならないと確定しなかったのですが、おそらくロンドン・シティ空港が最寄りであることは間違いなかったので、試験日の3ヶ月以上前にデュッセルドルフ空港(DUS)ーロンドン・シティ空港(LCY)間の飛行機を予約してしまいました。利用した航空会社はブリティッシュ航空(British Airways)でした。
ケルン中央駅からデュッセルドルフ空港までは快速列車RE1またはRE5を利用し、通勤定期券(€49チケット)の適用対象だったため実質無料でした。
宿泊するホテルについては、会場が判明してから探し、会場から徒歩10分程度のホテルを予約しました。ちなみに2023年の第2次試験のロンドン会場は「Bishopsgate Institute(230 Bishopsgate, London, EC2M 4QH)」でした。
ロンドン市内の移動については、トラムもバスもクレジットカードのタッチ決済に対応していたので大変便利でした。ちなみにDLR(Docklands Light Railway)については改札がなくとも乗車の前後にタッチが必要です。また、1日に引き落とされる上限金額が決まっており、たくさん乗った日にはとてもお得に感じました(Bus and tram fares – Transport for Londonによると、2024年現在の乗車料金は1回£1.75、1日の上限が£5.25、1週間の上限が£24.7のようです)。
【メインイベント】証券アナリスト試験
ロンドンに到着した日の翌日が試験日でした。
はじめての外国での試験で無事に受験できるか少し不安でしたが、会場には日本語の案内があり、試験監督も日本人だったので、まったくトラブルなく試験に臨むことができました。むしろ日本に来たと錯覚してしまうくらいでした。
席は到着順で好きな席を選ぶことができました。私は前方の席を選びましたが、試験時間が1コマ3時間と長いため、途中でトイレに行く可能性を考えるとトイレに近い後方の席に座った方が良い人もいるかもしれません。
受験生はざっと15〜25人程度だったと思います。20〜30代前後の若い人が多かった印象です。
昼食休憩1時間半をはさみ、午前3時間+午後3時間=合計6時間の体力が必要な試験でした。(前年までは3時間半×2=合計7時間とさらに長かったので、これでも緩和された方なのです!)
一方で、前年に比べて試験時間は短くなったものの分量はあまり減っていなかった印象で、より高得点を取るのが難しくなったように感じました。ある程度相対的な評価で合格・不合格が決まるため大きくは問題ないのですが、計算や手書きのスピードにも限界があり、時間内に絶対に全部解き終わらないという絶望感がすごかったです(笑)
<<証券アナリスト試験の勉強方法や勉強時間などについては後日別の記事にて紹介予定です>>
観光スポット巡り
ロンドン自然史博物館
私が午前中の試験を受けている間、夫が1人で「ロンドン自然史博物館(Natural History Museum)」を訪問してきました。私を試験会場まで送り届け、近くのLiverpool Street駅からCircle Lineを利用し、自然史博物館最寄りのSouth Kensington駅まで30分ほどでした。
ロンドン自然史博物館は「大英自然史博物館」とも呼ばれ、大英博物館の分館として設立された経緯があり、自然史博物館としては世界トップクラスの大きさを誇るようです。
<本項の続く記事は実際に訪問した夫により作成されました>
有難いことにイギリスでは入館料無料の博物館や美術館が多いですが、この施設もその対象で、一部の特別展示室を除いて無料でした。ただ訪問した際には入り口に列ができており、予約をしていなかったため30分ほど並んでの入館となりました。
その名前のとおり自然科学に関する展示があり、恐竜やマンモスの標本などが楽しめます。個人的な最大の見どころは、下の写真にある鯨類の骨格・原寸模型かと思います。今回、建物全体をゆっくりと回る時間はなかったのですが、この模型についてはついつい写真に収めてしまいました。
建物の写真からわかるように、大英博物館に匹敵するほどの大きな博物館なので、最低2時間程度は確保してゆっくり楽しむことをお勧めします。
キングス・クロス駅
試験終了後に2人で最初に向かったのは、ハリーポッターの聖地「キングス・クロス駅(King’s Cross)」です。試験会場近くのLiverpook Street駅からCircle lineで1本でした。所要時間は10分ほどでした。
キングス・クロス駅では、特に『9と4分の3番線』を再現した駅構内の壁の作品が有名です。
週末だったこともありそこで写真を撮影するために長蛇の列ができており、場所はすぐにわかりました。ちなみに本物の9番線の近くではありますが10番線は実際には存在せず、駅構内といっても線路の間の柱ではなくドーム屋根付きの吹き抜けのような場所になります。
無料の撮影スポットにもかかわらず、列をとりなすための係員が数名配備されていたのには少し驚きました。
私たちは並ぶことをあきらめましたが、隣のショップのスタッフからグリフィンドールのマフラーを借りて撮影に臨めるそうです。順々に写真撮影をしている子どもたちがたくさんいました。
ちなみに、この壁にめり込んだカートの作品は営業時間外は取り除かれてしまうようで、基本的に8時〜20時のみ撮影が可能です(当日の営業時間はGoogle Mapsなどでご自身でご確認ください)。
隣のショップ(The Harry Potter Shop at Platform 9 ¾)にはハリーポッターの関連グッズが多数販売されており、大勢の人で賑わっていました。私たちはそこでスニッチのキーホルダーなどのお土産を購入しました。
また、ハリーポッターの映画の中でキングス・クロス駅としてその外観が使用された「セント・パンクラス駅(St.Pancras)」の方も聖地として有名です。セント・パンクラス駅はキングス・クロス駅の西側に隣接しています。
カムデン通り
その後、キングス・クロス駅からNorthern Lineで「カムデン通り(Camden High Street)」に向かいました。所要時間は10分ほどで、Camden Town駅で下車しました。
カムデン通りはとても賑やかな通りで印象深かったので、2024年5月にも再度訪れています。詳細は次の記事の『カムデン通り』の章をぜひご覧ください。
ウェストミンスター橋
ショップ巡りの章で後述するコヴェント・ガーデン(Covent Garden)内のムーミン・ショップを訪れた後、「ウェストミンスター橋(Westminster Bridge)」周辺の観光スポットに向かいました。この2地点は歩ける距離に位置していたので徒歩で移動し、20分ほどかかりました。
ウェストミンスター寺院
「ウェストミンスター寺院(Westminster Abbey)」は橋の手前(西側)に位置し、後述のウェストミンスター宮殿よりも手前(西側)にあります。
11世紀にゴシック様式で建設されたプロテスタント系の寺院で、以降ここでイギリス国王の戴冠式などが執り行われています。ウェストミンスター宮殿などとともにユネスト世界遺産にも登録されています。
時間がなく中には入りませんでしたが、建物の壮大さと美しい外観に圧倒され、思わず写真を撮ってしまいました。
ウェストミンスター宮殿
「ウェストミンスター宮殿(Palace of Westminster)」は王の宮殿として、寺院とともに11世紀にゴシック様式で建設されました。現在はイギリスの国会議事堂として利用されています。
北端に併設されている時計台「エリザベス・タワー(Elizabeth Tower)」、通称『ビッグ・ベン(Big Ben)』と南西端の「ヴィクトリア・タワー(Victoria Tower)」(写真左手の国旗が上がっている塔)とともに観光スポットとして有名です。
名探偵コナンの217番目の事件『ホームズの黙示録』(単行本71・72巻)でもビッグ・ベンとその鐘の音が登場していたので、コナンの聖地にきたような気分でした。
上の写真はウェストミンスター橋の上から取りましたが、夕暮れ時にも関わらず橋の上にはまだ大勢の観光客がいて賑わっていました。
ロンドン・アイ
ウェストミンスター橋を渡った反対側(東側)には、ロンドンを眺望できる巨大観覧車「ロンドン・アイ(London Eye)」があります。こちらも名探偵コナンで登場しています。
ロンドン・アイは高さ135メートル、円周は400メートルもあり、1周するのに約30分を要します。1つのカプセルに最大25名乗車でき、普通の観覧車と違い基本的に相席となるようです。
今回は時間がなかったので乗車しませんでしたが、橋の反対側まで渡り近くまで行きました。
橋がかかっている広大なテムズ川(River Thames)は海のように広く青く、船も何隻か往来していてとても美しい眺めでした。
赤い電話ボックス
橋の西側に続くGreat George通り沿いにはいくつかの「赤い電話ボックス(Telephone Box)」が並んでいました。ロンドンの赤い電話ボックスは、そのオシャレな外装からロンドンの名物として知られています。
名探偵コナンでも、中でコナンが薬を飲んで新一に戻るシーンが登場します。ハリーポッターでも魔法省への入り口としてこの電話ボックスが登場します(実際に撮影で使われた電話ボックスはロンドン市内の別の場所にあるようです)。
赤い電話ボックスはこの通りだけでいくつもありましたが、写真撮影のために多少混んでいました。中には大きく破損していてゴミだらけの電話ボックスもあったので、人気の電話ボックスに並んだ方が映える写真が撮れそうです。
バッキンガム宮殿
2日目最後に訪れたのは「バッキンガム宮殿(Buckingham Palace)」です。ウェストミンスター橋から西方面へ、途中にあるセント・ジェームズ・パーク(St. James’s Park)を通り抜けて徒歩で向かい、20分ほどかかりました。
バッキンガム宮殿は、現在もイギリス国王の主要な居住地として利用されています。特定の日には大広間や庭園、王室コレクションなどが一般公開されているようです。
宮殿の目の前には「ヴィクトリア記念堂(Victoria Memorial)」などもありますが、すでに日没に近い時間帯であったため観光客の数はかなり減っており、思っていたよりも閑散としていました。
ここでの見どころは、名物である “決して動かない衛兵” です。赤い上着に黒い帽子を被っているようですが、時間が遅過ぎたためか、大変残念なことに衛兵は1人も見当たりませんでした。
ちなみに門から通常衛兵がいる位置(両側の緑のボックスの前)まではかなり距離があると感じました。
理想としては、大勢の衛兵の行進などが見られる「衛兵交代式」を見学できたら一番良かったのですが、午前11時から始まるため今回は無理でした。
この時期は毎日あるいは隔日で交代式が行われており、大変混雑するそうですが無料で見学できます。交代式のスケジュールは公式サイトSchedule – Changing the Guard – Ceremonial Events – The Household Division – Official siteにて確認できます。
グリニッジ天文台
最終日3日目に、朝から向かったのは「グリニッジ天文台(Royal Observatory Greenwich)」です。グリニッジ公園(Greenwich Park)内の丘の上にあります。
ホテル最寄りのバス停Aldgate East駅からバス135番でCanary Wharf駅まで向かい、そこでDLRに乗り換えて天文台最寄駅のCutty Sark駅で下車しました。
公園の敷地が広いので、まず公園内を抜けて丘の麓まで進み、そこからかなり急な斜面を登る必要があります。ホテルから天文台までの合計の所要時間は1時間ほどでした。
その場でチケットを購入して入館しました。入館料は1人£20でした。
グリニッジ天文台は現在では天文台としての機能はなく、史跡として残されています。
館内の展示物からは、天文台が作られた経緯や時計に関する歴史などを学ぶことができました。すべて英語のみですが、挿絵などもあり、比較的理解はしやすかったです。
天文台内の庭には、かつての本初子午線(Prime Meridian)を示すラインがあり、そのラインを跨いで写真撮影をしている人がたくさんいました(現在の国際的な本初子午線は東へ100メートルほど行ったところに位置するようです)。
庭には展望台のようなスペースもあり、そこからグリニッジ公園とロンドン市内の建造物やテムズ川などを眺望することができました。
お土産も種類が豊富で、私たちは小さい顕微鏡の模型や天文学に関するパズルクイズの本を購入しました。本には天文学に関する専門用語が頻発しますが、パズルクイズなので挿絵も多く十分に楽しめます。
その後昼食として、グリニッジ公園近くのパブで伝統的なイギリス料理である「Pie & Mash」を食べました。
大英博物館
今回の旅行で最後に訪れたのは「大英博物館(The British Museum)」です。グリニッジ天文台からは行きと同様にCutty Sark駅からDLRでBank駅まで向かい、そこでCentral Lineに乗り換えTottenham Court Road駅で下車しました。
大英博物館には、イギリスが世界各国に植民地を有していた大英帝国時代に広く収集されたコレクションなどが展示されています。
一番の見どころは、同一の文章が3種類の文字で記されていたことで古代エジプト語の解読につながったと言われる「ロゼッタ・ストーン(Rosetta Stone)」で、私たちも近くで実物を見ることができました。
他にもギリシャ・パルテノン神殿の彫刻やイースター島のモアイ像など必見の重要な展示物がいくつも飾られており、最低でも2〜3時間は確保できると良さそうです。
本博物館の運営費も政府からの助成金や寄付金で賄われており、一部の展示を除いて入場料は無料でした。
大英博物館からホテルまでは8番のバスで戻りました。Museum Street駅からLiverpool Street駅まで乗車し、所要時間は30分程度でした。
ショップ巡り
ムーミン・ショップ
イギリス・ロンドンでは、私たちのお気に入りのキャラクターである「ムーミン」のショップ巡りもしてきました。ロンドンには常設のムーミン・ショップが2店舗あります。
1店舗目はカンデム通りの北端のカムデン・マーケット(Camden Market)内にあり、カムデン通りを観光後にそのまま訪れました。
2店舗目はコヴェント・ガーデン(Covent Garden)というショッピングモール内にあり、Camden Town駅から最寄りのLeicester Square駅までNorthern Lineで1本で、所要時間は20分ほどでした。
なお、2店舗とも2024年5月に再訪しています。詳細は次の記事の『ムーミン・ショップ』の章をぜひご覧ください。
おわりに
今回私はロンドンにはじめて訪れましたが、幸いにも晴天に恵まれたことと、試験が終わった後の開放感も相まって、観光を心から楽しむことができました。(ちなみに証券アナリストの第2次試験は無事合格しました!)
合計6時間におよぶ試験の後に観光を始めたにもかかわらず、メジャーな観光スポットをいくつも回ることができました。特に、昔からずっと興味があったグリニッジ天文台に行けたことと、大英博物館であのロゼッタ・ストーンを生で見れたことは、最高の喜びに値します。
今後もロンドンに行く機会が何度かありそうですが、次はぜひユーロスター(Eurostar)で行ってみたいと思っています。
本記事の内容が少しでも皆さんの今後のご旅行の参考になれば幸いです。
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